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少していることに起因すると考えられます。
次に、社会性の不足の問題がございます。核家族化、少子化、自然体験や生活体験の不足から人間関係をつくる力が弱くなってきております。
先日、ある大学の先生から聞いた話ですが、大学の校門の近くにあった雀荘が最近どんどんなくなっていくということでした。
ファミコンと向かい合って生活してきた子供たちには、人とどういうふうにかかわっていけばよいのか、何の話をしたらいいのかということが苦手になってきているようです。職場で上司が若い人を誘っても何を話題にしたらいいのか戸惑って、「きょうは遠慮しておきます」といやがる若者が増えているそうです。
又、身の回りのことができない。将来何になりたいか決めてないという自立のおくれの問題もあります。
それから、小、中、高等学校と学年が進むにつれて学校生活の満足度が減少したり、過度の塾通いとなっていますが、これらは受験競争の弊害がでていると思われます。
最近はいじめを苦にしたと思われる自殺、あるいは不登校の問題が深刻化しております。
こういった子供たちの生活の現状はこれまで学校教育への比重が大き過ぎた結果ではないかと思われます。家庭教育も、地域でなすべきことも学校へ学校へと過度に依存してきました。
子供たちの1日の生活を見てみても、学校から帰るとすぐ塾に行き、塾から帰ると宿題をやってと、学校外の生活でありながら、学校教育の延長上の生活をしてます。
そこで、学校教育と学校外活動のバランスを保つことが必要になってきました。学校教育と学校外活動は車の両輪です。一方が大きくて一方が小さいと前に進もうと思っても空回りしますので、車輪は同じ大きさでないといけません。そのためには学校教育と、学校外活動のバランスを保つことが必要です。
学社連携については、これまでもその必要性が随分言われてきましたが、お互いに遠慮して相手のところに踏み込んでいくことをはばかっていたと思います。でも、今は遠慮している場合ではありません。お互いに中に踏み込んでいきましょう、ということで、学社融合が提唱されるようになりました。
聖徳大学の坂本昇一先生は、抽象的な内容を系統的、計画的に学習するのが学校教育である学校外活動というのは、具体的な内容を総合的、偶発的、自発的に行うものであって、この両者が相まって初めて子供の健やかな育成が期待できるのだといわれております。
これからは家庭や地域社会の教育の充実と活性化が大事になってくるということで、学校外活動の充実の必要性がここに生じてまいりました。これからは子供たちの生活体験や自然体験などの学校外活動の充実、各種の青少年教育活動を活発化していく必要があります。そのために学校週5日制が制度化されたわけでございます。学校週5日制は、生涯学習のために子供に返された1日であると思います。
子供たちにゆとりと学校外活動を充実させるということは、皆様方の青少年教育施設がいよいよ出番ということになってまいります。そこで、これからどういう子供たちに育てていくのか、どういう力を身につけさせるのかということでございますが、中央教育審議会では、今後求められる資質や能力は、変化の激しい社会を生きる力であるという方向で審議が行われているところでございます。
現在、15期の中央教育審議会が開かれておりますが、「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」文部大臣より諮問をいたしました。その検討事項は3つあります。
1番目は、今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方。
2番目は、一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善。
3番目は、国際化、情報化、科学技術の発達等社会の変化に対応する教育のあり方です。
今回の答申のキーワードは「生きる力」と「ゆとり」です。
これからの社会は変化の激しい時代で、先行き不透明な時代である。このような社会を生きるためには、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能

 

 

 

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